毎日飲むコーヒー。朝の一杯、午後のリラックスタイム…私の日常に欠かせない存在です。でも正直、「あー、美味しいねぇ」とは思うものの、それがどんな「美味しい」なのか、うまく言葉にできませんでした。お店でコーヒー豆を選ぶときも、パッケージに書いてある「フローラルな香り」「チョコレートのような風味」なんて説明を見ても、「へぇ、そうなんだ…でも、どれもコーヒーの味じゃない?」とピンと来ないまま。豆の種類だって、言われてみれば「マンデリン?モカ?なんか聞いたことあるな」くらいの知識でした。
たまにテレビで見るコーヒー通の方が、香りをかいで「うん、これは明るいシトラス系の…」「ああ、ビターチョコレートのような余韻が…」なんて語っているのを見ると、「一体どうやったらそんな風に感じるんだろう?」「私には一生分からない世界だな…」と、ちょっと疎外感さえ抱いていた程です。そんなプロっぽい「カッピング」なんて、特別な訓練を受けた人だけができる、敷居の高いものだと思い込んでいたんです。
でも、心のどこかでは「もっとコーヒーの味を深く知りたい」「自分好みの豆を自信を持って選べるようになりたい」という小さな願望がありました。そんなある日、ふと「プロじゃなくても、家で自己流カッピングってできないのかな?」と思い立ったんです。難しいことは一切抜きで、ただ目の前のコーヒーとじっくり向き合ってみよう。そうすれば、もしかしたら私にも、あのキラキラしたコーヒーの世界の扉が少しだけ開かれるのかもしれない!…なんて、ちょっと大げさですけど、そんなワクワクした気持ちで、自宅でコーヒーのカッピング(もどき?)に挑戦してみることにしたのです。知識ゼロの私に、一体どんな発見があるんでしょうか?
目次
カッピングって一体ナニ?【超初心者向け】自宅で楽しむ簡単カッピングの基本
「カッピング」って、エステサロンや鍼灸院なんかでガラスのカップで背中やおなかを吸うやつ…?いえいえ、コーヒーの世界でいうカッピングは「味」や「香り」をじっくり、客観的に評価するための方法のこと。プロは専用の道具や細かなルールで行いますが、私たち一般人が家で楽しむなら、もっと気軽に、シンプルに考えてOK!「ふむふむ、このコーヒーはこんな香りがするのか」「お、飲んでみたらこんな味がするな」と、五感を研ぎ澄ませてコーヒーと向き合う、そんなイメージです。
じゃあ、自宅で「なんちゃってカッピング」をするのに、何か特別なものが必要かというと…実はそうでもありません。いつものコーヒーを淹れる道具に加えて、いくつかあると便利なものはこちら。
- 複数種類のコーヒー豆: 今回のように飲み比べたい豆。粉でもOKですが、直前に挽くと香りが立ちやすいです。
- 同じ形のカップやマグカップ: 複数並べて比較しやすいように。
- 熱いお湯: 沸騰したお湯を少し冷ます(90℃前後が目安ですが、神経質にならなくて大丈夫!)
- スプーン: 香りをかいだり、飲む時に使います。(プロは専用のスプーンですが、家にあるものでOK)
- メモとペン: 感じたことを忘れないうちに書き留めるために。
これだけあれば十分!そして、カッピングの超シンプル手順はたったこれだけです。
- 豆を挽く&香りをかぐ(ドライフレグランス): 豆を挽いたら、カップに入れて粉の香りをかぎます。「お、なんか甘い香り?」「薬っぽい?」など、感じたままをメモ。
- お湯を注ぐ(ウェットフレグランス): 挽いた粉にお湯を注ぎます。プク〜っと膨らむ様子も楽しい。そして、湯気と一緒に立ち上る香りをもう一度。ドライの時と違う?
- クラストをブレイクする: 表面に粉の層(クラスト)ができるので、スプーンで優しく崩します。この時にまたふわっと香りが変わるので、感じてメモ。
- 浮いているアクなどを取る(スキミング): 表面に浮いた粉やアクをスプーンでそっとすくい取ります。
- テイスティング(味を見る): 少し冷めて飲み頃になったら、スプーンでコーヒーをすくい、ズルっと音を立てて口に含みます。(プロは空気と一緒に吸い込むことで、香りを最大限に感じやすくするためですが、家なら普通に飲んでもOK!)舌全体や鼻の奥でどんな風味を感じるか集中!「酸味?」「苦味?」「甘み?」「フルーティー?」「ナッツっぽい?」…これも感じたままをメモ。
- 評価・比較: 複数のコーヒーを順番にテイスティングして、それぞれの違いや特徴を書き出してみましょう。
どうですか?全然難しくなさそうでしょう?特別なスキルは要りません。必要なのは「コーヒーと向き合う時間」と「素直な気持ち」だけ。さあ、次はいよいよ実践です!
いよいよ実践!【酸味・苦味・甘味】3種類のコーヒー豆を飲み比べ体験
よし、カッピングの基本は(超ざっくりだけど)分かった!ということで、いよいよ実践です。今回は、「酸味」「苦味」「甘味」という、コーヒーの味を語る上でよく出てくるキーワードを体感するために、それぞれの特徴が出やすいと言われる市販のコーヒー豆を3種類用意してみました。どれも、近所のスーパーやカルディ、スタバなどで気軽に手に入るものです。
左から、「これぞ酸味!」「THE苦味!」「なんだか甘そう?」と、私なりにイメージで選んでみました。パッケージを眺めているだけでもワクワクします。
今回は比較のために、豆の挽き目やお湯の温度は全て同じ条件に揃えました。さあ、いよいよ、この3種類のコーヒーと真剣に向き合ってみましょう!
今回飲み比べたコーヒー豆たち
① これぞフルーティーな酸味!

商品名
カルディコーヒーファーム マイルドカルディ (ブラジル、コロンビア他ブレンド)
商品情報
価格帯:896円(税込)前後
容量:200g
カルディ公式サイトでの購入はこちら
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選んだ理由: 「マイルド」と書いてありますが、意外とフルーティーな酸味を感じやすく、価格もお手頃で定番だから。カルディの店頭やオンラインで手に入りやすいです。
飲んでみた感想:挽いた粉の香りは、甘いような、ちょっと柑橘系の皮みたいな爽やかな感じ。お湯を注ぐと、さらにフルーティーな香りが広がります。「お花みたい?」…いや、もっと元気な香り。飲んでみると…わっ、本当に酸味がある!でも、レモンのようなツンとした酸っぱさじゃなくて、もっと明るくて、口の中にスーッと広がる感じ。後味にオレンジとかリンゴのような、甘さを含んだフルーティーさが残る気がする!これが「フルーティーな酸味」ってやつか!今まで酸味のあるコーヒーって苦手だと思ってたけど、これは心地良い!
② THE 深煎り!ガツンと苦味

商品名
スターバックス コーヒー カフェ ベロナ (ブレンド)
商品情報
価格帯:1,440円(税込)前後
容量:250g
スターバックス公式サイトでの情報はこちら
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選んだ理由: スターバックスの中でも特に深煎りで、チョコレートのような風味やしっかりしたコク、苦味で知られている定番商品だから。スタバの店舗だけでなく、スーパーやオンラインでもよく見かけます。
飲んでみた感想:お湯を注ぐと、どっしりとした、まさに「コーヒー!」という香りが立ち上ります。
挽いた粉の香りは、もう香ばしい!ローストアーモンドとか、ちょっと焦がしたカラメルみたいな、力強い香り。
飲んでみると…うん、苦い!でも、ただ苦いだけじゃない。舌の奥の方にずっしりくるような、存在感のある苦味です。ビターチョコレートとか、ココアのような、ほろ苦さとコク深さがある感じ。飲んだ後も口の中に長く余韻が残ります。これが「しっかりした苦味とコク」か!ブラックで飲むと目が覚めるような、頼れる一杯。
③ バランスの取れた優しい口当たり!自然な甘味

商品名
UCC ゴールドスペシャル 炒り豆 スぺシャルブレンド 250g
商品情報
価格帯:1,067円(税込)前後
容量:250g
UCC公式サイトでの情報はこちら
Amazonでの購入はこちら
選んだ理由: 昔から好きで良く飲んでいて、改めて味や香りを言語化したくなったので。こちらもスーパーで非常によく見かける定番商品なので手に入れやすいですね。
飲んでみた感想:挽いた粉の香りは、スモーキーで香ばしい!暖炉の火を見ているような、落ち着く香りです。お湯を注ぐと、その香ばしさがさらに引き立ちます。飲んでみると…あれ?苦いのかな?と思いきや、口当たりがすごく滑らかで、後からじんわりと優しい甘さが追いかけてくる!砂糖を入れてないのに、ほんのり甘い。キャラメルとか、黒糖みたいな、深みのある甘さ?苦味もあるけど、それが甘さを引き立てているような気がします。これはホッとする味だなぁ。
3種類を順番に飲み比べてみると…もうね、ビックリするくらい違うんです!今まで「ちょっと違うかな?」くらいにしか思えなかった差が、カッピングという行為を通して向き合ってみると、「あきらかに違う味だ!」とハッキリ分かるんです。
ざっくりとですが、「酸味」のカルディは華やかでフルーティー。「苦味」のスタバは力強くてチョコレート風。「甘味」のUCCは、まろやかで優しい甘さ。
それぞれの個性が際立っていて、これは「コーヒーの味」という一言では片付けられない!今まで自分の舌に自信がなかったのが嘘みたいに、それぞれのキャラクターを感じ取ることができました。「え、私にも分かったの!?」と、本当に驚きと発見の連続でした。
一人より断然楽しい!家族とワイワイ「カッピング座談会」
一人でじっくり向き合うカッピングも良いですが、せっかくなので家族にも付き合ってもらいました。「なんかコーヒーの色が違うね」「これどうすんの?ズルズルするの?」なんて言いながら、夫と高校生の息子(コーヒーはミルクと砂糖たっぷり派)、そして私の母も巻き込んで、我が家で急遽「なんちゃってカッピング座談会」を開催!
同じコーヒーを飲んでいるのに、感じ方がそれぞれ違うのが面白いんです。
「この酸味のやつ、私はいちごっぽいと思ったけど、お母さんは『みかんみたいね』って言うのよ」
「スタバのやつ、パパは『スモーキーでウイスキーみたいだ』って言ってるけど、母は『なんか…漢方薬っぽい?』だって(笑)」
「UCCの甘いやつは、普段ブラックで飲まない息子が『あれ、これ飲みやすいかも。甘い香りがする』って気に入ってた!」
プロみたいに的確な言葉は出てこなくても、「これ好き!」「これ苦手かも」「なんかこの匂い落ち着く〜」なんて、ワイワイ言いながらそれぞれの感想を言い合うのが本当に楽しかったです。普段、コーヒーを飲みながらそこまで真剣に味の話をすることなんてないから、新鮮でした。
しかも、面白いことに、飲む順番や直前に食べたもの(お煎餅を食べた後だと、苦味をより強く感じたり!)あとは温度でも味の感じ方が変わるんですよね。「えー!さっきと違う!」なんて盛り上がって、さらにコーヒーの深い沼へと足を踏み入れたのでした。
コーヒーという共通のテーマで、普段とは違う角度から会話が弾むのは予想外の収穫でした。家族や友達とワイワイ言いながらやると、一人でやるよりも気づきが多いし、何より「美味しいね!」を共有できる喜びがありますね。コーヒーが、ただ飲むだけの存在からコミュニケーションツールの一つになるなんて!ちょっと大げさかもしれませんが、コーヒーの新しい楽しみ方を発見した瞬間でした。
「カッピング」は難しくなかった!コーヒーの世界がぐっと広がる第一歩
今回の自宅「なんちゃってカッピング」体験。始める前は「私みたいな素人には無理だろうな」「味の違いなんて分かるわけない」と、正直かなりハードルを高く感じていました。でも、いざやってみると…想像していた何倍も簡単で、そして何倍も面白かった!
3種類のコーヒーを飲み比べるだけで、あんなにも味が違うことをハッキリと舌で感じられたのは、本当に驚きでした。フルーティーな酸味、ガツンとくる苦味、じんわり優しい甘味…それぞれの個性が見事に立っていて、「あぁ、コーヒーってこんなにも表情豊かな飲み物だったんだ!」と、目から鱗が落ちた気分です。
カッピングというと、どうしてもプロの専門的なイメージが先行してしまいがちですが、今回やったように、難しく考えず「このコーヒーはどんな味がするかな?」と、ただ自分の感覚に素直に向き合うだけでも、十分にその楽しさを味わえます。特別な道具も知識もいりません。いつものコーヒータイムに、ほんの少し「意識」をプラスするだけ。
この体験を通して、コーヒー豆を選ぶのが俄然楽しくなりました。「次はあのパッケージに書いてある『ナッツの風味』を意識して飲んでみようかな」とか、「あの時美味しかった酸味系の豆、他の種類も試してみよう!」とか、好奇心がどんどん湧いてきます。今までだったら手に取らなかったような豆にも、気軽にチャレンジしてみようという気持ちになれました。
もちろん、今回感じ取った味が「正解」かどうかは分かりません。でも、それで良いと思うんです。自分の舌で感じたこと、それがあなたにとっての「そのコーヒーの味」なのですから。
もしあなたが私と同じように、「コーヒーの味の違い、よく分からないんだよな〜」と感じているなら、ぜひ一度、自宅で簡単にできる「なんちゃってカッピング」を試してみてください。普段飲んでいるコーヒーと、ちょっと違うタイプの豆を1種類だけでも良いんです。2種類の飲み比べから、気軽に始めてみませんか?きっと、いつものコーヒータイムが、もっと豊かで、もっと楽しい時間になるはずですよ。「え、私にも分かった!」という、小さな驚きと発見が、あなたのコーヒーライフをぐっと広げてくれるはずです。
まとめ
今回は、「コーヒーのカッピングについて知識ゼロだった私が、自宅で酸味・苦味・甘味が特徴の3種類のコーヒー豆を挽いて飲み比べた体験談」をお届けしました。
特別な道具や知識は不要。必要なのは「コーヒーと向き合う気持ち」だけです。
市販の豆を飲み比べた結果、それぞれの味や香りの個性にハッキリ気づくことができ、心から驚きました。家族や友人と一緒にやると、それぞれの感じ方の違いに気づいたり、会話が弾んだりして、楽しさが倍増することも分かりました。カッピングは決して難しいものではなく、誰でも気軽にコーヒーの奥深さに触れられる素晴らしい方法です。
この記事を読んで、「私もやってみようかな?」と少しでも思っていただけたら嬉しいです。まずは、今手元にあるコーヒー豆と、もう1種類だけ違うタイプの豆を用意して、飲み比べてみてください。きっと、新しい発見があるはずです。あなたのコーヒーライフが、もっと楽しく豊かなものになりますように!